/ドンキホーテ藤田Bar新宿/ジンリッキー

私はマンガ本は読まないんだが、例外なのがBarレモンハート

Barを題材にした漫画で、連続テレビドラマ化もされている。

この本のモデルになったのがこのお店。

靖国通りから路地に入ると看板が見えてくる。

新宿5丁目の名店ドンキホーテ藤田Barさん。

6人も座れば満席になるカウンターとテーブルが2つの小さな店。

マスターは御年75歳の藤田佳朗氏。

札幌のBar山崎、新宿のいないいないバーという日本を代表する名店で研鑽を積んだマスター。

カウンターに座り、初めまして、夢酔亭主人です

初めての店ならではの微かな緊張感。

テレビを見て以前から機会があれば訪問したいと思っていたが、今回念願叶って初訪問したことを話すと嬉しそうにほほ笑むマスター。

この店の名物はジンリッキー

わざわざ注文はしなくても席に座れば出てくる。

写真撮っていいですか?

目の前でポーズを決めるマスターを無視してジンリッキーをパチリ。

ゴクッ

んっ

ゴクゴクゴク!

なんだこれは!

ジンリッキーとはジンと炭酸とライム。

どこのバーにでもある定番カクテルで作り方も簡単。

だが、これは違う。

これが、伝説といわれるバーテンダーの技術なのか。

同じカウンターに座るとすぐ仲良くなるのが新宿の酒場。

左には判事さん、右にはフラメンコのダンサーさん。

ダンサーさんお土産のスペインのスパークリングカバのおすそ分けをいただく。

ジンバック

これもすごい。

メニューはないので、肴や料理はマスターのおまかせのみ。

大皿いっぱいに肉や魚それにピクルスまでてんこ盛り。

しかもどれも美味い!

訊けば若い頃はスペイン料理のコックもしていたという本格派の料理なのだ。

話題はウイスキーサントリーオールド。

昔は和洋中どんな店にもあったのがオールド、たぬきとかだるまという相性で親しまれてきた。

先日久し振りにオールドを飲んだけどこんなに美味かったっけと思ったよ

昔のオールドはもっと美味しかったですよ

そう言いながらごそごそ出してきたのは45年前の札幌オリンピックの記念ボトル。

これってレアなお宝じゃないか。

私からのプレゼントですと、注いでくれたウイスキー

ゴクッ!

確かに美味い!

スーッと鼻に抜ける余韻が爽やか。

これ飲んでみてよと、作ってくれたのはモスコミュール。

ウォッカにライムジュースとジンジャーエールを使うのだが、本来のレシピではジンジャービアを使う。

写真を撮ろうとすると、これも一緒に撮ってとジンジャービアのビンを置いてくれる。

ジンジャービアで作るモスコミュールの素晴らしいことといったらありゃしない。

これを飲んだらほかの店ではモスコミュールは飲めなくなりそうだ。

この日初めて自分の意思でマティーニをお願いした。

マティーニも素晴らしい。

美味しく作る秘訣を聞くと惜しげもなく教えてくれるが、真似しようと思ってもできるものじゃない。

最初はお互いに相手の力量を試す会話が続いたが、もうすっかり打ち解けて酒の魅力を語り合う。

大量のパンが出てきた。

ウチはメニューはないので、出されたものを食べてください笑

仕入れ伊勢丹というパンも美味いが、マスター手作りのチーズとブルーペリーソースが絶品。

気分はほろ酔い、お腹もいっぱいになり、マスターに最後ののチョイスをお願いする。

ニコラシカはいかがでしょう?

甘ったるいから好きじゃない。

そう答えると、1杯だけ試しに飲んでみて下さい

なんじゃこりゃ!

ニコラシカはレモンと白砂糖が一般的だが、ライムとザラメ、それにコーヒー豆が3粒。

カクテルを作るにはシェーカーやミキシンググラスなどの道具が必要だが、ニコラシカだけは独特の飲み方。

ライム、ザラメ、コーヒー豆を口に含み強くかみ砕く。

そしてブランデーを一気に流し込むのだ。

つまり口をシェイカーにするのだが、甘酸っぱくしかもコーヒーの風味が加わって口の中はお祭り騒ぎ。

そこにブランデーが合流すると祭りは一気に頂点へ。

お会計を済ませお釣りは誰が置いたか、藤田佳朗氏の精密検査を受けさせる募金箱に投入笑

忙しい中外まで見送ってくれたマスターのお土産は松前の老舗菓子店の羊羹。

最初から最後まですべてに感動的な酒、料理、そして雰囲気。

一流といわれる名店をはるかに凌ぎ、その魅力は感動的でさえある。

初訪問では夢シュラン初めての快挙。

お店

ドンキホーテ藤田

東京都新宿区新宿5-11-29